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(中継バス地点のヴィラ・レアル)
Portugal Photo Gallery --- Vila Real

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ヴィラ・レアル1
中央広場

ヴィラ・レアル2
カテドラル

ヴィラ・レアル3
教会

ヴィラ・レアル4
曲がった道

ヴィラ・レアル5
町並み

ヴィラ・レアル6
市庁舎

ヴィラ・レアル7
列車型バス

ヴィラ・レアル8
お昼ねタイム

ヴィラ・レアル9
お散歩

ヴィラ・レアル10
標識

ヴィラ・レアル11
くつみがき

ヴィラ・レアル12
陶芸や

ヴィラ・レアル13
ろくろ

ヴィラ・レアル14
作品

ヴィラ・レアル15
教会

ヴィラ・レアル16
山あいの村

ヴィラ・レアル17
山あいの集落

ヴィラ・レアル18
日のあたる場所

レグアの洪水の足跡

ペソ・ダ・レグア37
しずむ船つき場

ペソ・ダ・レグア38
しずむ公園

ペソ・ダ・レグア39
あふれる水

ペソ・ダ・レグア40
水の中のアイス屋さん

ペソ・ダ・レグア41
しずむ店

ペソ・ダ・レグア42
あきらめ顔

☆ヴィラ・レアルの説明 (写真の上をクリックすると大きな写真が見れます。)☆
ポルトから、ブラガンサに行く途中の乗り換え地点のヴィラ・レアル。
ラメーゴに行く途中でも乗り換え地点となる。
レグアから、1時間ほどの場所にある交通の要所である。

「ポー君の旅日記」 ☆ 中継バス地点のヴィラ・レアル ☆ 〔 文・杉澤理史 〕

≪2006紀行文・7≫   === 第二章●ドウロ川上流アルト・ドウロ地帯を行くD === 

          《旅の基本6箇条》

 その朝10月26日(木)の東の空はまだ黒い雲で覆われ暗く、夜が明 けていなかった。10月下旬のレグアの朝は遅かった。 しかし、徐々に夕焼けのような真っ赤に燃えた雲が現われ青空もちらり と顔を見せた。 8時だった。 朝焼けは天候が崩れる前兆だと経験から察知していたが、外れて欲しと ポーは願っていた。

          《旅の基本@ 朝は必ずトイレを済ませる》

 7時からのモーニングで写真家の相棒は『満腹!満腹!』とお腹の調子 も復活したようだ。 朝は必ず用を済ませてから出発だ。 旅は知らない町へ行く好奇心にあふれていたが、トイレだけは別問題だ った。日本のように簡単に何処でも済ますことが出来ない。 カフェに入れば可能だがお金がかかる。飲みたくもないコーヒー代の無 駄金は使いたくなかった。旅人は100円でも貴重だった。 だから、トイレをただで使える時はその気がなくても、する。 アホらしいが、知らない地を旅するには馬鹿にしてはいけないトイレ事 情だった。 2泊分40×2=80ユーロ(12000円)を精算し、宿を出たら朝 焼けが待っていたのだ。

 今日はポルトに帰り、28年間ポルトに住む日本から嫁いできたYUK Oさん夫婦の夕飯招待が待っていた。 それまでに相棒が組んだ《町》はヴィラ・レアルだった。 ヴィラ・レアルは2004年に旅をした中世の面影をそのまんま残す城 塞都市で結婚式に遭遇したブラガンサから、葡萄畑に囲まれた小さな町ラ メーゴに行くのに乗り換えたバスターミナルしか知らない町だった。 ヴィラ・レアルには、もう1つ苦い思い出が残っていた。 旅の羅針盤みたいなガイド本《地球の歩き方》を乗り換え時乗ってきた バスに置き忘れ、その後の旅に不自由した辛い経験があったのだ。

 「けいの豆日記ノート」
 以前、ブラガンサに行くときに中継地点のバスターミナルだった。 ブラガンサに行くときもバスは、普通はここで乗り換えだったが、乗り換えのないバスもあった。 そのラッキーなバスで、行きは、行くことができた。 ラメーゴにいく場合は、必ず乗り換えらしい。 そのときは、乗り換えということを知らなくて、レアルについてから、急に降りろといわれて慌ててしまった。 降りる準備をしていなかったので、席の前の網にガイド本をいれてあるのを忘れてしまった。 気がついたのが、バスが発車した後だった。 後悔してもすでに遅く、それからの旅がたいへんなことになった。

          《旅の基本A 観察力が羅針盤》

 レグア駅舎前のドウロ川沿い道路には、太い幹のプラタナス並木が連な っている。その道路がバス停になっていた。 バス停と言っても標識は何処にもない。 次々にバスが走ってきて乗客を乗せて走り去っていく。 バスが止まる位置が微妙に違うと相棒が観察していた。 相棒が調べたヴィラ・レアル行きのバスは9時15分だった。 そして落ち葉の掃除をしているおじさんにヴィラ・レアル行きのバスは どこら辺で止まるのかを聞いた。 キヨスクの小屋がある当りだと指差された。 おじさんの言う通りの位置にバスは止まった。 5分遅れのバスに乗った。 座席シートは明るい紫色で統一され座り心地がいい。乗客は12人だった。

 走り出して15分もしない間に、バスは狭い山間道路を登ったり降っ たりを繰り返し、車窓はドキドキするほどの入り組んだ峰の狭い道を走っていた。 眼下には、深い谷間の斜面に点在する白い家が周囲を葡萄畑に囲まれて いるのが見える。 その向こうに青い連山が延々とつながっていた。 ヴィラ・レアルまでの45分間は壮大で壮絶に迫り、こんな過激な地で ポートワインの葡萄が造られてきたのかと、感動させられる景観を楽しま せてくれた。

 ヴィラ・レアルのバスターミナルに着いた。 2年前のバスターミナルは建物の中にあったが、今は広場になっていた。 広場にはバスが5台止まっている。入り口にプレハブ小屋があり、キップ 売り場と待合室になっていた。 前に来たときは、もっと街中にあったような気がする。 バスターミナルの広場の周りは新しく建てられたアパート群で道幅も広 い。町外れの感じであった。 この町を4時間ばかり散策して、3時頃ポルトに帰る予定を組んでいた。 『エッ、エ−ッ!』相棒の雄叫びだ。 ここからポルト行きのバス時刻を聞いた相棒は絶句した。 渡されたメモ紙には、19時30分の1便だけだった。その時刻はYU KOさんが宿に迎えに来ている時間だった。間に合わない。 それが相棒の落胆の声になったのだ。

 「けいの豆日記ノート」
 前にブラガンサとラメーゴに行ったときの乗り換えのバスターミナルとちがっていた。 場所がかわったのかとも思った。 ポルトまでのバスの時間を聞いてびっくりした。 夕方までバスがないなんてそんなはずはなかった。 ブラガンサからもラメーゴからもポルトまでのバスはたくさんあったはずだ。 その記憶があったからこそ、レグアからレアルにいいってからポルトに行こうと思ったのだった。 おかしい。これは、おかしい。 でも、ないものはない。 しかたないので、レグアまで戻ることにした。
 後から、ゆっくり考えてみると、バス会社がちがっていたのだと思う。 だから、バスターミナルも違っていて当然のことだった。 そこまで考えなかった自分が間違っていたのだろう。 思い込みは、いけないことわかっていたはずなのに。 反省しなくては・・・

          《旅の基本B 決断する判断力》

 しかし、相棒の決断は早かった。   『ポー、レグアに戻るぜ!』 レグア行きの時刻を聞くと、またメモ紙を渡された。 [10時30分 11時15分 12時30分] 雲の流れが雨に崩れそうなので、とりあえず11時15分でレグアまで 再び戻ることにする。散策するのに1時間ちょっとあった。 コロ付き荷物を事務所で預かってくれないかと交渉。OK!だ。 バスターミナルを飛び出した。 地図も資料もないヴィラ・レアルだった。 トリズモ(インフォメ−ション=観光案内所)で地図を貰うしかない。 広い道路の街路樹が黄色に紅葉していた。  教会の十字架を目標に相棒は歩き出した。

 「けいの豆日記ノート」
 1時間しか時間がなかった。 このバスターミナルは町のはずれにあった。 地図もない町で、どうやって、町の中央まで行くのか。 感に頼るしかない・・・

          《旅の基本C 地図に強くあれ》

 ポーは方向音痴。相棒が頼りだった。 遠くに見える十字架までの架空の地図が相棒の頭には描かれているようだ。 ポーは撮影しながら進む相棒を追った。 狭い路地を曲った先にドンピシャ!教会が現われた。 教会の前は石畳の広場になっており、赤い機関車に赤い車両をつなげた 乗り物が色鮮やかに置いてある。 観光シーズンには、観光客を乗せて広場の先に見える旧市街を走るのだ ろうと思う。 広場の真中で茶色の犬が寝そべっていた。空は黒い雨雲が広がっていた が、何故か犬の周辺だけにこぼれ陽が当っている。天使みたいな犬だった。

 目の前を真っ赤な小さな三輪自動車が通りすぎた。 骨董品と言うよりも芸術品に思えた。運転するおじいさんの方が骨董だ ったと言えば怒られそうだ。 広場から旧市街に向かって道が伸び、緑葉をいっぱいつけた街路樹が美 しい。街角に靴磨きのおじさんがいた。煙草を吸って客待ちが顔だ。 路地に入ると道に花を並べた小さな花屋があり、色とりどりの菊が香り を放っていた。 その先に道が左右に分かれ、その真中に小さなカテドラルがある。 中に入った。祈りの長椅子で老婆がひとり正面の金色に輝く祭壇に頭を 垂れていた。

 「けいの豆日記ノート」
 雨が降りそうな日だった。 ときどき、太陽が顔をだしていた。 青空がない町はさびしかった。 シーズンオフで人が少ないせいもあったかもしれない。 広場に寝転んでいた犬がのどかだった。

          《旅の基本D 時間は自分で作る》

 バスの時間を1時間延ばしても良かったが、雨模様の空を見て予定通り にした。 相棒の足が、早足になった。 バス発車まで15分しかなかった。 相棒は発車時間に慌てていたのではない。バスターミナルから町に向か う時に、目に留めていたおじさんが気になっていたのだ。 小屋で陶器を造っていたのを見逃していなかった。 白髪のおじさんは器用に手押しロクロを廻し、黄色みを帯びた土で小ぶ りの壷を造っている。木目細かい土がおじさんの指先にからみ、吸いつく ようであった。鉄分が多い土かも知れないとポーは思う。 棚に作品が並べられている。黒い器の肌が素焼き的感触の陶器だった。 土瓶もあれば、愛知県の猿投(さなげ)焼き似た古代器作品もあった。

 この地で古風な焼き物に会えるとは思わなかった。 今までポルトガルで見た器は色が鮮やかで、どちらかと言えばけばけば しいのが多かったが、このおじさんの作品は買って帰りたかった。 しかし、諦めた。長旅を持ち歩く自信がなかった。 (買っておけば良かったと、今は後悔している)

 「けいの豆日記ノート」
 ロクロで陶器を作っていた。 ロクロをまわすおじさんが日本人のように見えた。 ロクロは、日本だけのものだけでないのになぜなんだろう。 以前、エストレモスの町で陶芸家?の家を覗いたことがある。 牛の首につける鈴の型を焼き物で作っていた。 焼き物は鉄の鈴の型だけなので割ってしまうので、陶芸家とはいわないか。

          《旅の基本E 時間があれば歩け歩け》

 予定のバスに乗った。相棒は45分間を熟睡していた。眠れる時は眠る。 ただし、一人旅では出来ない技だ。連れがあっての熟睡だった。  朝乗ったドウロ川沿い道路の、標識のないバス停で降りた。 ポルトに帰る列車まで1時間ほどあった。荷物をチェックアウトした宿 に頼みこみ預かってもらい、レグアの町に飛び出した。
 『ポー、雰囲気がおかしくない!』 川岸にあった公園の方に人々が走っていた。 カメラを握り締め相棒も後を追う。普段は暢気(のんき)な相棒だった が、雰囲気を察知するのに長(た)けていた。写真家としての勘だった。 川沿いの道路から一段下がった川岸に細長く広がる公園を見て相棒は絶 句した。
 二日前に散策した公園が茶褐色に染まったドウロ川に沈んでいた。 レストランも水びたしだった。椅子やテーブルをタイヤの半分が沈み込 んだ小型トラックに人々が運び込んでいた。 5羽のアヒルが岸辺の窪みで寄り添っているのが印象的だった。 相棒のシャッターが鳴っていた。  ドウロ川の源である隣国スペインで今、激しい雨が降り続いているに違いない。 日本では考えられない現象であった。

 宿に戻り預けた荷物を転がしてレグア駅舎からポルト行きの列車に乗った。 車窓から川幅いっぱいに満々と流れるドウロ川を見ながらポルトに向かった。 下流にあるポルトのドウロ川はどうなっているのか気がかりであった。

                              *「地球の歩き方」参照*

終わりまで、旅日記を読んでくださり、ありがとうございます。 次回をお楽しみに・・・・・・・2007年5月掲載

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